「保育園落ちた、日本しね」というショッキングな一文が大きな話題になったのは2016年のこと。その年の流行語大賞トップ10にも選ばれてしまいました。
なかなか改善されない待機児童問題に加えて、妊娠・出産を経て子育てをしながら働く女性に対してのマタハラ。SNSなどを通して多くの声が上がりながらも、まだまだセクハラやモラハラ、パワハラなどの問題があったり、サービス残業が通常運転化していたりする「ブラック企業」と呼ばれてしまう会社もけっこう元気に存在しています。
そんななか、職場そのものを託児所とし、社員が代わる代わる子守をするという、斬新な取り組みをしている会社があります。そして、いま現在そこで社員全員からその成長をあたたかく見守られている10ヶ月の男の子が、「働き方改革プロジェクトチームEH担当」に就任したそうです。一体どういうことなのでしょうか。
Employee Happiness
なんとこのタイガくん、自分の名刺があり、幹部会や社外ミーティングにも参加。
職場の和ませ役として活躍しているそうです。そんなミーティングがあったら、ぜひ参加してみたいですね。
こちらの会社は、通信業界に特化したコンサルティング事業を展開する株式会社ピアズ。ドコモショップなどに人材を派遣したり、イベントを展開したりしているようです。
会社のウェブサイトを見てみると、ただただ利益を追求するだけでなく、働く人たちが成長すること、幸せであること、を大事にしているのだな、という雰囲気が、会社の理念や社員紹介などから伝わってきました。また、女性がとても活躍されている様子です。
代表取締役の方は、「社員幸福度 Employee Happiness 社員を幸せにしたら10年連続黒字になりました」という本も出版されています。
今回の取り組みも、「今まで会社に貢献してくれた女性社員が、出産を理由に退職を選択する環境はもったいない」という考えから、働く女性がママさんになっても、これまで通り、これまで以上に幸せであるように、社員全員でサポートしている、ということですね。
職場の託児所化
オフィスで社員が代わる代わる子守をしている、ということですが、一体どんな様子なんでしょうか。
子育て経験がある人や、子どもが好きな人はさておき、小さい子どもと接するのが苦手な人もいるのではないでしょうか。
わたし自身は、急に赤ちゃん言葉になって子どもに話しかけたりするのが苦手で、昔、職場に誰かの子どもが来たとき、どう接したらいいか分からず、タメ口で話していたため、よくまわりのママさんたちに笑われてしまっていました。
先日発表されたピアズのプレスリリースに、いくつか社内の様子を写した写真があったので、ご紹介します。
こんなふうに毎日、近くに赤ちゃんがいたら、自然と接し方や子育てについても、学べそうです。仕事でイライラしたときや、疲れたときも、無邪気に遊ぶ子どもの姿が近くにあると、とても癒される気がします。
実際の子育ては、大変なことも多いと思いますが、こんなふうに会社がサポートしてくれるなんて有難いですね。
子どもにとっても、ママさんにとっても、誰にとっても、あっという間に過ぎていってしまう「誰かの小さな時代」をこんなふうに過ごすことは、とても特別な経験なのではないでしょうか。
以下は、働く女性と出産について、ピアズのプレスリリースから抜粋です。
株式会社ピアズ http://peers.jp
出産を機に退職する女性たち
厚生労働省が発表した「平成28年国民生活基礎調査」によると、末子が0歳時の母親の仕事の状況は、「仕事なし」が60.7%と最多で、いまだに出産を機に退職した人の割合が半数以上という結果が出ました。
昨今、子供がいても働く母親が増えてきた印象を受けますが、まだまだ小さい子供のいる家庭では、仕事を離れ育児をしなければならない環境にあるとともに、子供が少し大きくなり、手がかからなくなってきたとしても、正社員として再就職している人は20%台しかおらず、パートなどの非正職員・従業員の割合が半数近く占めるのが現状のようです。
子供のいる家庭でも、正社員として母親を即戦力として雇用し続ける企業側の受け入れ体制も見直す必要がありそうです。
(参照:厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査)