【よく分かるプラスチックごみと海洋汚染】もしもご飯を食べても食べても空腹だったら

もしも、あなたが夕ご飯を食べたのに、いつまでたってもお腹が空いているし、力も湧いてこないとしたら、どうしますか?

おかしいな、と思って、もっとご飯を食べると思います。

それでも、やっぱりいつまでたってもお腹が空いているので、もっと食べます。でも何も変わりませんー

これは、ナショナルジオグラフィック6月号の特集「海に流れ出るプラスチック」のなかの「プラスチックと生き物 犠牲になる野生動物」で紹介されていた、プラスチックを食べ物と勘違いして飲み込んでしまう海鳥たちの置かれている状況です。

こうして栄養不足になった海鳥は、食べ物を探して飛び回り、見つけたプラスチックごみを持ち帰ってひなに与えてしまうのだそうです。

記者

一体なぜ、海鳥たちはこんな悲惨な目に合わなくてはならないのでしょうか?

プラスチックを食べないで!と言っても伝わらない

こんなに、食べちゃう

海鳥によるプラスチックの誤飲がはじめて記録されたのは、今からさかのぼること52年前、1966年(昭和41年)のことだそうです。

日本では、ウルトラマンの放送がはじまったり、ポッキーが発売されたり、という年です。

この年に、ハワイ諸島の環礁(かんしょう、ドーナツ状に中央部に島のないサンゴ礁)で、74羽のコアホウドリのひなの体内から、プラスチックが見つかりました。

当時のプラスチック生産量は、現在のおよそ20分の1。

その当時からすでに、人間は多くのプラスチックを、海の生きものたちに食べさせてきたことになります。

Greenpeaceが配布している「プラスチックフリーガイド」によると
今、プラスチックを食べている海の生きものは、

  • 10羽に9羽の海鳥
  • 2匹に1匹の海ガメ
  • 2頭に1頭のクジラやイルカ

なんと、水深1万1,000メートル近い海溝に生息する生物の胃からも、プラスチックが見つかっているそうです。

記者

海の深いところに住む生きものたちでさえ、プラスチックを食べてしまっているのです。

なぜ、食べちゃうの?

長年、科学者たちは、動物がプラスチックを食べてしまうのは「食べ物のように見えるから」と思ってきたそうです。

例えばウミガメは、薄く透明なビニール袋をクラゲと間違えることが多い。魚などは、日光や波の作用により米粒大の破片になったマイクロプラスチックを、ふだん食べている小さいものと間違って食べてしまう。

しかし、近年の研究で「プラスチックごみの匂い」が、餌のような匂いであることがわかってきました。

どういうことかというと、

  • その1
    藻が発生する
    海に浮かぶプラスチックごみは、藻類が繁茂する絶好の足場となる。
  • その2
    藻類が分解される
  • その3
    ジメチルスルフィドが発生する
    藻類が海中で自然に分解するときに、硫黄臭を放つジメチルスルフィドという物質が発生する。多くの海鳥が食べるオキアミが、藻類を食べるときも、藻類が分解されてジメチルスルフィドが発生する。
  • その4
    硫黄臭におびき寄せられる
    オキアミを探す海鳥たちは、硫黄臭をたどっていけばオキアミのいる餌場に行けることを知っている。
  • その5
    餌だと思って食べる

こうした理由から、実に9割の海鳥が、プラスチックを誤飲している、ということが2015年の研究で判明しています。

参考 海鳥の90%がプラスチックを誤飲、最新研究で判明ナショナルジオグラフィック

近年では、誤飲したゴミで胃袋がはちきれそうになったアホウドリの死骸や、1羽の海鳥の胃の中から200個のプラスチック片が発見される、クジラの胃から自動車の部品が発見される、など様々なケースが相次いで報告されています。

記者

食べ物のように見えるものから、食べ物のような匂いがする。だから、食べてしまう。という理由のようですね。嗅覚に依存せざるを得ない種では、特に誤飲の影響が深刻なのだそうです。

また、誤飲だけではなく、ビニール袋が身体に巻きついてしまったり、漁網に絡みついてしまったり、ストローが刺さってしまったり、と、海へ流れ出た様々なモノが海の生きものたちを傷つけ、その命を脅かし、奪ってしまっているのです。

なかでも、プラスチックゴミは、毎分トラック1台分が海へ、流れだしています。

かつては動物を助けたプラスチック

プラスチックの歴史(長いです)

プラスチックのはじまりから、現在までを見てみましょう。

  • プラスチック前
    シェラック(shellac)という天然樹脂
    アカシヤ樹の寄生昆虫より抽出されたシェラックが、プラスチックの前身と言われています。レコードの原料に使われていたそうです。
  • 1835年(天保6年)
    ポリ塩化ビニルの粉末を発明
    フランスのルノーが、ポリ塩化ビニルの粉末を発明。製品化には至りませんでした。
  • 1839年(天保10年)
    ポリスチレンを発明
    ドイツのジモンが、ポリスチレンを発明。
  • 1851年(嘉永4年)
    エボナイトを工業化
    アメリカのチャールズ・グッドイヤーが、偶然に天然ゴムに硫黄を付けてゴムの改質法を発見。エボナイトというゴムを発明し、特許を取って工業化。
  • 1870年(明治3年)
    セルロイドを工業化(世界初のプラスチック)
    アメリカの印刷工ジョン・ハイアットが偶然に薬液をこぼして硬化したもの(セルロイド)を発見。実用プラスチックとして工業化された。これは、硝化綿(二トロセルロース)に樟脳(しょうのう)を加えたものであり、天然セルロースを使用するため「半合成プラスチック」と呼ばれる。

    MEMO
    この当時(19世紀半ば)、ピアノの鍵盤やビリヤードの玉、くしなどの装飾品は象牙で作られていました。ゾウの生息数が減り、象牙が値上がりして入手困難になったため、アメリカのビリヤード会社が、「代用の素材を発明した人に1万ドルの報酬を出す」と宣言。アマチュア発明家でもあったジョン・ハイアットが、これに挑戦しました。

    記者

    セルロイドはゾウを救い、またビリヤードを貴族の遊びから庶民が気軽に楽しめるゲームへと変えたそうです。
  • 1872年(明治5年)
    フェノール樹脂を発明
    ドイツのバイエルが、フェノールとホルマリンの反応によってできるフェノール樹脂を発明。
  • 1889年(明治22年)
    セルロイドがフィルムに
    イーストマン・コダック社がセルロイドを映画用フィルムとして使用。

    記者

    ニュー・シネマ・パラダイスにも出てくる、あの燃えやすいフィルムですね。
  • 1909年(明治42年)
    フェノール樹脂を工業化(世界初の人工合成樹脂)
    アメリカのベークランドがフェノール樹脂を工業化し「ベークライト」という名で広く普及。動植物を原料としない世界で初めての人工的合成樹脂となる。
    MEMO
    優れた電気絶縁性、耐熱性、難燃性により、カメラのボディや電話機に使用されました。
  • 1917年(大正6年)
    酢酸セルロースを発明
    酢酸セルローズ(不燃セルロイド)が発明され、映画館の火事が激減した。

    記者

    トト!
  • 1930年(昭和5年)
    ポリスチレンが工業化
    ドイツやアメリカでポリスチレンが工業化された。
  • 1934年(昭和9年)
    アクリル樹脂が工業化
    ドイツでアクリルが工業化。ガラスのような高い透明度を持っている事から「有機ガラス」と呼ばれ、透明性・耐久性・耐候性といったの特長から、戦闘機の風防(キャノピー)などに軍事利用された。
  • 1938年(昭和13年)
    ナイロンが工業化
    1927年にアメリカのデュポン社が極秘の研究開発チームを立ち上げ、絹のような繊維を目標に人口繊維のナイロンを開発。1938年にカロザースの研究チームがポリアミド(商品名:ナイロン)を開発。1941に工業化された。
    MEMO
    ナイロン(NYLON)という商品名は、主要研究員5名のイニシャルをとって名付けられたそうです。
  • 1945年(昭和20年)第二次大戦後〜
    プラスチックが生活に登場
    戦時中に軍用品として利用されていたプラスチックや合成ゴム、合成繊維が一般市民の生活に登場。代表的なものでは「ビニール」と呼ばれたポリ塩化ビニル、「ポリ」と呼ばれたポリエチレン、「スチロール」と呼ばれたポリスチレン、「ベークライト」と呼ばれたフェノール樹脂。
    MEMO
    戦争中に自然素材が不足したため、その代用になる合成素材の研究開発が進みました。これが今日まで続くプラスチック生産の飛躍的な増加に繋がっている、と言われています。
  • 1955年(昭和30年)〜
    プラスチックの大量生産が始まる
    石油化学の発達により、コンビナートから採掘される石油原料の樹脂が製造される。最初はエチレンを中心に総合化学工業が進み、ポリエチレンを代表とした様々な樹脂が大量生産され、日用品や衣料などの生活用品へと利用された。その後、ポリプロピレン中心の工業へとシフトしていく。

    エンジニアリングプラスチック(特に強度に優れ、耐熱性のような特定の機能を強化してあるプラスチック)も登場し始め、アメリカのデュポン社がポリアセタール(POM)、ドイツのバイエル社がポリカーボネート(PC)を生産開始。

    MEMO
    エンジニアリングプラスチックは、家電製品内部の歯車や軸受けといった機構部品、家電に限らず電気製品全般の筐体や、携帯機器に多く使われています。油がなくても耐磨耗性に優れ、軽量で錆びず、複雑な形状も精度良く成形加工できるので、大量生産に向いているそうです。
  • 1965年(昭和40年)〜
    スーパーエンプラの登場
    さらに高性能なスーパーエンプラ(スーパーエンジニアリングプラスチック)が登場。アメリカではUCC社・3M社がポリスルホン(PSU)、デュポン社がポリイミド(PI)、フィリップス社がPPS樹脂、ICI社がPEEK樹脂を開発。
  • 現在
    生活に欠かせないプラスチック
    日本だけでも合成樹脂の生産量は年間1000万トン(2016年)を超え、生活に欠かせない素材となっています。汎用プラスチックが圧倒的に多く、なかでも三大汎用プラスチック(ポリエチレン・ポリ塩化ビニル・ポリプロピレン)だけで700万トン近く。

    主に金属の代替材として使われるエンプラ・スーパーエンプラは、高機能化への市場ニーズが強く、材料メーカーは添加剤による各種グレード開発、アロイ化による改質、環境対応、新機能素材など技術開発を進めている。

記者

いま身の回りにあるもののなかに、一体どれくらいのプラスチックがあるでしょうか?わたしたちの便利で快適な暮らしは、ずっと昔から研究と開発、改良が繰り返されて、その技術の上に成り立っているのですね。
参考 プラスチックの歴史REBIRTH 参考 プラスチックの歴史KDAのプラスチック加工技術 参考 ナショナルジオグラフィック日本版 2018年6月号ナショナルジオグラフィック

プラスチックとはなにか?(短くまとめました)

  • プラスチックは、丈夫で軽く、安価な素材として150年前に発明されました。
  • 石油からできている
  • 約50種類!
  • パッケージ、歯ブラシ、服、おもちゃ、車、などに使われている
  • 心臓病の医療機器やジェット機にも欠かせない存在

ナショナルジオグラフィック6月号の特集「海に流れ出るプラスチック」によると、

これまでの累計生産量は83億トン。
そのうち廃棄されたのは63億トン。
廃棄されたなかでリサイクルされていないのは57億トン。(2017年)

プラスチックについて、こんなデータもあります。

  1. 今日のプラスチック市場で最大の割合を占めるのは容器包装材
  2. 包装材のごみが、世界で発生する廃プラスチックの半分近くを占める(大半はリサイクルも焼却もされない)
  3. 4割以上が一度使われただけで捨てられている
  4. 毎年1,270万トンのプラスチックが海に流れ出している = ゾウ200万頭分の重さ!
  5. レジ袋の寿命は15分
参考 ナショナルジオグラフィック日本版 2018年6月号ナショナルジオグラフィック 参考 プラスチックフリーガイドgreenpeace

「毎年1,270万トンのプラスチックが海に流れ出している = ゾウ200万頭分の重さ」というのは、なかなか想像しづらいですが、
トラックいっぱいに積んだプラスチックごみを1分ごとに海に投げ込んでいる、ということです。

一体なぜそんなに海へ流れ出てしまうのでしょうか?

記者

リサイクルとか、されているんじゃないの?
みんなそんなにポイ捨てするわけ?
…と思ってました。

プラスチックよ、どうしてそんなに海へ?

プラスチックは、北極から南極まで、そして海面から海底まで、海のあらゆるところで見つかっています。

多くは、陸地でポイ捨てされたものが川に流され、河口から海へと流出。

海流に乗って、世界中の海域へと運ばれています。

世界のポイ捨て事情と海洋のごみベルト

最も近い大都市から5,000キロ離れたヘンダーソン島、という南太平洋の離島の浜辺には、なんと88カ国からのプラスチックごみが漂着していました。

ラベルを調べたところ、3分の1以上が東アジア、4分の1以上が南米、英国やドイツなど、はるばるヨーロッパ諸国のものもあったそうです。

記者

ヘンダーソン島は無人島です。

プラスチックごみの行方を追ってみましょう。

  • その1
    ぽいっとその辺りに捨てられる
    国によって、ポイ捨てへの意識には大きな差があります。

    ノルウェーなどは、現在ペットボトルの回収率が97%と、国を挙げてリサイクルの啓蒙だけでなくシステムが作られていたり、日本でも(ポイ捨てへの意識とリサイクル率は一旦さておき)ごみ収集のシステムはきちんと整備されています。

    一方、近年急成長するアジア諸国では、使い捨てプラスチック包装材の利用が増えていますが、ごみの収集システムが十分に整備されていないどころか、そもそも存在しない地域もあります。

    MEMO
    フィリピンの首都マニラからマニラ湾へと流れているパシグ川。かつては暮らしに潤いをもたらす水辺だったそうですが、今では廃プラスチックを海に運ぶ量、世界ワースト10に入ってしまっています。1990年には、生物が生息できない「死んだ川」と宣告されました。

    記者

    パシグ川の51の支流沿いには、掘っ立て小屋が乱立。大勢の不法占拠者と呼ばれる人々が暮らしています。皆、生活が苦しいため、小分けされた少量の生活用品や食品を買い、それら容器が投げ捨てられ、プラスチックが川面を埋め尽くしています。

    2010年の時点で、廃プラスチックの半分はアジアの5カ国(中国、インドネシア、フィリピン、ベトナム、スリランカ)で発生している、と言われています。

    北米とヨーロッパで100%リサイクルしても、海洋に流出するプラスチックの全体量はほとんど変わらない」という見解もあり、これらを解決するには、この国々に直接出向いて、処理方法を改善するしかないようです。

    いま、なんだじゃあ日本は関係ないじゃん。って思いました?

    とり

    日本で暮らすわたしたちが、安くて質の良いモノが自由に買えて、豊かな暮らしができるのは、アジア諸国の工場で働く人々がいるからです。人々に仕事を与えてはいますが、その工場の前にあった森や川や海はもうありません。自然環境やそこで働く人々に十分な配慮やほんとうの意味での生活支援はできているのでしょうか?(いずれ記事にまとめたいと思います)
    日本のリサイクル率は19%と、OECD加盟国(ヨーロッパを中心に、アメリカ、日本を含む35か国の先進国が加盟する国際機関)の中では下から5番目の低さ。その代わりに「焼却とエネルギー回収」については断トツ1位の71%。自治体の指示に従って分別しているのに、リサイクル率は低く、焼却がほとんど、ということになります。

    参考 知ってほしい、リサイクルとごみのこと国立環境研究所

    ノルウェーのように、先進諸国はその技術や資金を活かして、いろいろな国が自国でゴミ問題について取り組めるようなモデル国となっていくと良いですね。

    記者

    世界の経済や産業のリーダーとなっている先進諸国にはそういった責任もあると思います。
    参考 プラスチックごみ問題、アジアの責任は?ナショナルジオグラフィック
  • その2
    川から海へ
    陸地から雨水に流されたり、側溝に落ちたり、水にのって河川へ。やがて海へ。
    住民やボランティアによるゴミ拾いなどで回収されることもありますが、ほんの一部です。
  • その3
    浮かぶ or 沈む
    種類によって浮くか沈みます。海水より比重の大きいものは沈み、ペットボトルのキャップのように比重の小さいものは浮いて、海の表層を漂います。

    MEMO
    今日製造されているプラスチック製品の半分くらいは、海水よりも比重が軽く、水に浮くそうです。

    近年ではSNSでも話題になりましたが、オランダに住む19歳の少年が世界の海から725万トンのプラスチックを除去できる装置「Ocean Cleanup Array」を考案。NGOを立ち上げ、TEDでプレゼンをするなど世界の注目を集めています。

    2016年には日本海の対馬沖で実験用システムのテストを行い、回転する海流からゴミを回収していくことに成功。2020年の本格的なスタートを目指し、今年中盤に最初のクリーンアップシステムを開始する予定だそうです。

    参考 23歳起業家「太平洋上のプラスチックゴミを5年で半分に」日本でも実験した新システムとはlivedoor NEWS

    他にも、様々な取り組みが行われています。
    参考 3年間で454トンのゴミを回収した、かわいい見た目と裏腹な「働き者」TABILABO

  • その4
    海流に乗って、溜まる
    ゆっくりと海流に流されたプラスチックごみは、だんだんと外洋の特定の海域に溜まっていきます。世界にはそうした5つの大きな集積場所が出来上がってしまっています。

    世界の大洋を循環する5つの環流(ジャイア)とプラスチック濃度の図。色が濃いほどマイクロプラスチックの濃度が高い。
    出典: GRID-Arendal resources library by Maphoto/Riccardo Pravettoni
    www.grida.no/resources/6913

    5つの環流(ジャイア)
    1. 北太平洋環流(North Pacific gyre)
    2. 南太平洋環流(South Pacific gyre)
    3. 北大西洋環流(North Atlantic gyre)
    4. 南大西洋環流(South Atlantic gyre)
    5. インド洋環流(Indian Ocean gyre)

    この中で、最も大きいのが(1)の北太平洋環流で、日本や中国、韓国などが位置しているエリアが含まれています。

参考 ナショナルジオグラフィック日本版 2018年6月号ナショナルジオグラフィック 参考 海洋プラスチックごみが集積する5つのジャイアプラスチックの海

太平洋ごみベルト

出典:Plastic Draft (CC BY-NC-SA)

こちらは、日本の海で捨てられたゴミが、どこへ流されていくのか、シュミレーションされたものです。

だんだん、広がって北太平洋環流に乗り、最終的にアメリカの西海岸、カリフォルニア沖合に集まっていくのが分かると思います。

日本だけでなく、東アジアと東南アジアからでた大量のごみが黒潮にのって、北大西洋に流れ込んでいくのです。

ここは、「グレートパシフィックごみパッチ」と呼ばれ、おびただしい量のプラスチックごみが見つかることから、「プラスチックごみのスープ」と言われているそうです。

記者

ぜったい、おいしくないです。
魚とか貝とか、そこでたくさん暮らしているし、それみなさん食べてますよ。

とり

そして、日本の南からカリフォルニアにかけて、ごみが帯状に分布しているエリアが「太平洋ごみベルト」です。

どんな状況か、写真も多く、とても分かりやすいのがこちらのまとめサイト。
参考 目を覆いたくなる…太平洋ゴミベルトのあまりに醜い現実NAVERまとめ

また、こちらのサイトでは、上のGIFイメージでシュミレーションされていたように、地図上のアヒルくんをいろいろな海に浮かべることで、そこに浮かんだものがどこへ流れていくか、見ることができます。
参考 plasticadriftplasticadrift.org

記者

1回、自分でやってみると、とてもよく分かりますよ。

アジアがプラスチックに埋もれる前に

フィリピンのパシグ川周辺の様子については、先ほども書きましたが、世界で最もごみの多い20の河川のうち、15はアジアを流れています。

フィリピンでは、環境保護団体による清掃活動や、非公式のリサイクル産業もその従事者の数を増やしているそうですが、一刻もはやい固形ごみの管理システムの整備が望まれています。

現地の写真を見ると、その様子がとてもよく分かります。
参考 プラスチックごみ問題、アジアの責任は?ナショナルジオグラフィック

世界の「死んだ川」は、こちらに目を疑いたくなくような写真がたくさんあります(一部、動物の死骸の写真がありますので、閲覧注意です。)
参考 世界にある汚染された川・湖10選電撃ランキング

しかし!
こうして表面に浮かんでいるプラスチックごみは、海に流れ出たプラスチックごみの一部にしかすぎません。

「マイクロプラスチック」という、目に見えない形になって、海の中を漂っているのです。
これについては、また次の記事にしたいと思います。

今日から、すぐにできること

無理なくできること

最後に、こうしたプラスチックごみと海洋汚染の問題について、簡単にできることをご紹介して終わりたいと思います。

  1. レジ袋をもらわない
  2. 買い物袋を持参したり、家に余っているレジ袋を持っていきましょう。
    エコポイントがもらえるスーパーだと、お得でもあります。

  3. ストローを使わない
  4. 紙製のストローを使うお店も徐々に出はじめてきましたが、
    必要ないのに、なんとなくストローがあるから・ついてきたから、という理由だけで使っていませんか?

  5. ペットボトル飲料を買わない
  6. マイボトル、水筒を使いましょう。
    マイボトルを持っていくと、値引きをしてくれるコーヒーショップなどもありますね。

  7. プラスチック容器包装を避ける
  8. なるべく野菜や果物など、包装されてないものを買いましょう。
    最近ではいろいろなものを量り売りしてくれるお店もできています。

  9. できる限りリサイクル
  10. スーパーの入り口などで、トレイやペットボトルを回収しているところはけっこう多いですよね。

  11. ポイ捨てしない
  12. 持って帰ってね。

参考 ナショナルジオグラフィック日本版 2018年6月号ナショナルジオグラフィック

1分でできること

2018年6月に開催されたG7首脳会議では、日本と米国だけが「G7海洋プラスチック憲章」に署名せず、海のプラスチック汚染に対処する姿勢を示しませんでした。

こちらで署名ができます。
参考 署名ページ:使い捨てプラスチックで海がいっぱいになる前にgreenpeace

当たり前のようにお店に並んでいるから、当たり前のように渡してもらえるから、当たり前のようにみんな使っているから、そうやって日常生活のあらゆるところで、多くの人がよく考えないまま、お金を払って、モノを買ったり、食べたり、身につけたり、消費しているのではないかと思います。

自分一人がレジ袋をエコバッグにしたところで、何が変わるのさ、と思う人もいると思います。自分一人がストローを使ったところで、何にも起きないじゃん、と思う人もいると思います。

でも、そんなことで良いのでしょうか?

わたしたちの暮らしは、自然の、山と海の恵みにどれほど支えられているか、考えてみてください。

みんなが買っているから、みんなが使っているから、くれるから、というのは、裏を返せば、誰も買わなければ買わない、誰も使わなければ使わない、もらえなかったら使わない、ということにもなると思います。

わたしたちは、どんな暮らしを目指していくべきなのでしょうか?

わたしたちの次の世代に、どんな暮らしをしてもらいたいですか?

みんながそう考え、行動するような街に、国に、世界に、なっていけば良いなと思います。

記者

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。