島根県松江市「保性館 幽泉亭」国登録有形文化財に

島根県松江市にある「保性館」。
江戸時代中期の1702年に創業し、なんと開業以来300年の歴史を誇る宿。

緑豊かな日本庭園の敷地内に、昭和天皇も宿泊した「幽泉亭」と、
「紅梅閣」、「竹寿閣」、「佳松閣」という4つの館から構成されているそうです。

そしてその「幽泉亭」が、2018年3月9日に開催された国の文化審議会で、国登録有形文化財として登録認定をうけました!

“開業以来変わらぬおもてなしの心、日本の古き趣きを感じる佇まい、こんこんと溢れるいにしえの温泉ロマン、厳選した食材を調理したご夕食など、多くのお客様にご愛顧頂いて参りました。”

その大変な努力が実って、今回の登録認定となったこと、
本当に素晴らしいです。おめでとうございます!

“幽泉亭は、保性館ならびに玉造温泉の歴史を伝え、また島根県内の近代和風建築の高い文化水準を伝える歴史・文化資産であり、HMIホテルグループとしては、こうした経緯を高く評して、今後とも地域の資産として大切に保存してまいります。”

ぜひ、訪れてみたいですね。

「保性館 幽泉亭」について

「保性館 幽泉亭」は、工匠・川島徳次郎※(1871‐1955)により、1931(昭和6)年に皇族専用の宿泊棟として建てられました。
木造平屋建で、燻瓦の桟瓦葺に熨斗棟を載せた入母屋造とし、東面に杮葺の唐破風を架け渡した車寄状の庇を付しています。この庇は、1989(平成元)年に幽泉亭の南東側にあった表門の唐破風庇を移設したもので、蟇股に宝鏡と勾玉を象るなど、皇族専用の宿泊棟として相応しい意匠を掲げて格式ある佇まいを演出しています。

また、入母屋屋根に加えて2 層の庇を延ばした3 枚の屋根が積層する優雅なプロポーションを有し、これは小屋裏に仕込んだ鉄材によって深い軒の出の造りをなし、桟瓦葺でありながら杮葺や檜皮葺の屋根に通ずる軽やかさを表現しています。

内部は、多彩な意匠を駆使して創意あふれた数寄屋風にまとめられ、多種多様な銘木をふんだんに用いて造作に富んだ座敷飾を構え、杉材の大面2 枚を室全体に渡って架け渡した鏡天井を形成するなど、天井や欄間、引戸に極めて華やかな意匠を持ち、とりわけ桑材の輪切材を欄間や室内装飾に用いて雅趣あふれる造作をなしていることは、幽泉亭特有の意匠として特筆すべきものとなっています。

※川島徳次郎
1871(明治4)年、島根県意生郡揖屋村(現在の島根県松江市東出雲町揖屋)生まれ。明治から昭和戦前期の出雲地方を代表する名工であり、重要文化財木幡家住宅「飛雲閣」(松江市宍道町)などを手掛けました。

施設概要

■所在地
〒928-8588 島根県松江市玉湯町玉造1191-1
TEL:0852-62-0011 FAX:0852-62-2365
https://www.hmi-ryokan.jp/hoseikan/

■建物概要
木造平屋建、瓦葺
建築面積/112㎡ (延床面積 約130㎡)

■平面構成
和室2間続き(8畳、10畳)、玄関、茶室 ほか